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「エンド・オブ・ステイツ」

endofstate

 ジェラルド・バトラー兄貴による、極右映画シリーズの最新作。
 前作「エンド・オブ・キングダム」の敵は国際テロリスト集団で、舞台となるロンドンが大変なことになっていたが、今作の敵は味方。いわゆる内紛もので、よくある国のために尽くしてきたのに、使い捨てにされてしまった。この恨みはらさでおくべきか系の映画である。前作で規模を大きくしすぎた反動だろうか、今作はコンパクトに、近場で済ませました、みたいな感じもする。
 話は無実の罪を着せられた兄貴が孤軍奮闘、身内のたすけをかりつつ、最後には(ほとんどひとりで)敵すべてをぶっ殺すといったもの。
 序盤のドローンによる一掃攻撃からはじまって、トラックによるカーチェイス、親父さんとの共闘による地雷祭り、そしてラストのビル内の攻防、とアクションも派手で見応えがある。というかアクションのみを楽しむ映画だといっていいだろう。
 主演のジェラルド・バトラー兄貴もノリノリで、強面フェイスで、さくさくと敵をなぎたおしていく様は、まるでスポーツの名プレーを見ているよう。爽快ですらある。
 そして何より、今作のポイントは兄貴の親父が登場して、親子そろっての大虐殺を繰り広げるところだろう。この親父、兄貴同様、いい感じにいかれている。
 それにしても今作でもまた、兄貴はいったい何人の命を闇にほうむったのだろう? いくら敵が反逆者といえど、やりすぎじゃないかという感はぬぐえない。それでそのあと平然と家庭人にもどって良きパパを演じているのだから、もはや完全にサイコパスである。
 といった野暮なツッコミをいれずにいられないのは、もちろん、本作が面白かったからだ。建前だけの倫理観をふりかざすくらいなら、いっそ今作のように振り切れてしまったほうがスッとするというものだ。
 で、鑑賞後は見事なくらい何ものこらないが、エンタメ映画なんだからこれでいい。いそぎよくて、かえって好印象だ。
 というわけで今作もまたストレス発散にはもってこいの映画だった。



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「アベンジャーズ エンドゲーム」

endgame

 2019年度、公開された中でもっとも気に入った映画なのに、まだ感想を書いてなかったので、二度目の鑑賞を終えた今、改めて書いておこうと思う。
 二度目の鑑賞を終えて、まずおどろいたのは、内容をまだはっきりとおぼえているのにもかかわらず、三時間という長尺、まったく飽きることなく、むしろ初見より新鮮に観れたことだ。つまりそれだけ、すみずみまで計算されつくし、丁寧につくられているという証拠なのだろう。
 さらに感心したのは、二部作となる前作は無論のこと、「アイアンマン」に始まる10年近くにおよぶ、マーベル・ユニバーズ数十作すべての総決算としても、散りばめられた伏線回収、それぞれ主要キャラの決着の仕方のまとめ方が完璧であること。
 製作された時期もちがえば、監督もちがう、テイストもちがう。それなのに、この一作で、すべてがきれいにつながってしまうあたり、広げた風呂敷のたたみ方がはんぱない。神業としか思えない手腕だ。すごいことである。
 しかもこれ単体だけとして見ても十分におもしろいところがさらにすごい。
 前半のタイムスリップをつかった、過去へもどっての未来改変ストーリーはこのジャンルにハズレなし(自分比)という定言通り、ユーモアとアクションと内輪ネタをもりこんだ楽しいものだったし、後半の東映まんがまつりチックなヒーロー全員集合によるラストバトルも、けっして一辺倒なものにならず、ガントレットをリレー形式で敵から死守していく展開など、飽きさせないように作ってある。
 何より、今作は膨大な数になるピースを的確にはめこんで出来上がっていく壮大なジグゾーパズル、その過程を追っていく、そのスリリングさを楽しむ映画だと思った。
 そして結果、全てのピースがはまり、ファンであれば泣かずにいられない、感動的なラストが眼前に立ち現れるのだ。完璧である。



「パラサイト 半地下の家族」

parasait

 何やら話題になっているので観てきた。監督はポン・ジュノ。韓国で今もっとも有能な監督のうちの一人である。
 これまでに撮った映画は「吠える犬は噛まない」「殺人の追憶」「グムエル」「母なる証明」「スノーピアサー」など。それぞれが数多くの映画賞をとっており、評論家筋の受けもいい。
私も「殺人の追憶」など特に強い印象が残っている。今作もまたすでにパルムドール最賞をとっており、期待値はマックスといった状態での鑑賞となった。

 ストーリーは半地下状態にある住居に暮らす貧乏一家が、とあるきっかけから上流家庭の仕事を得て、そこに一家総出で寄生していく、といったもの。
 家庭のっとりもの、というジャンルがあるかしらないが、そのパターンのストーリーは映画でも漫画でもよくある(個人的には藤子不二雄Aさんの漫画が印象に残っている)。なので、特に目新しいものではない。
 ともあれそのいずれもが、乗っ取る側の方は悪人であって、嫌な描かれ方をしていて、今作もそうなるのだろうと思っていた。実際、主人公家族の乗っ取る手口は卑劣で実にいやらしい。
 しかし中盤、意外な方向に話が転がって、ドタバタ調の展開があってのち、しだいにこの一家が根っからの悪人でもないことがわかるってくると、応援したいような気になってくる。
 かわりに、今度は上流家族の持つ、関係のない他者の無関心さ、散漫さ、いやらしさが目についてくる。それと対比させるように、下層社会の貧困さが、映像的にわかりやすく提示されて、総中流社会と言われる現代における、格差。その不平等さを、こうして見事に映像化して見せたところが、今作の最大のポイントだろう。

 と、テーマだけを取り上げてみれば、シリアスで救いようのない話と思われるかもしれない。が、今作がすばらしいのは、全編にユーモアがただよい、意外な展開をするサスペンスとしてもちゃんと楽しめるところ。そしてラストはかすかな希望をもたせて終わる。と鑑賞後の印象もいい。
 世界的に蔓延する、今の気分を見事にとらえた、今作は社会はドラマとしてみることができると同時に、エンタメ映画としても楽しめる、という二つを見事に融合させた、優秀な映画といえるだろう。マックスだった期待値にこたえる、いやさらにその上をいく、映画だ。



「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」

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 というわけで、賛否両論の今作を観てきた。
 前作、エピソード8にあたる「最後のジェダイ」がアレな出来だっただけに、期待値はゼロの状態での鑑賞である。
 公開前の予測どおり、やはり最後のジェダイはなかったことにしての展開で、監督、脚本を担当したJJ・エイブラムスはさぞや大変だったろうな、というのがまず第一に思ったことだった。決して悪くない。悪くはない、けれども……。

 とにかく三部作の最終章、今作でまとめなければならないという、焦りがすけてみえる感じで、終始、急ぎ足、早い展開が気になる。ゆっくり楽しんでいる余裕がないのだ。 
 肝心のストーリーも、パルパティーンの居所をさぐるためウェイファインダーと呼ばれるナビゲータのようなものを捜索するといった内容が取ってつけたようで、どうにも乗れない。実際、途中で飽きて、何度か睡魔におそわれてしまったほどだ。
 そして何より目についたのは、フォースの拡大解釈。もはやほとんど、ハリーポッターの魔法のごとく、物を自在に動かすのはもとより、手から電流が走り、傷を治し、あげくに死者をよみがえらすといった、なんでもありになっていて、しらけてしまう。
 この辺りのスターウォーズとしてやってはいけないラインを、JJは理解していると思っていただけに残念である。
 そしてラストも、子供の頃に観た戦隊ヒーローもののような超能力バトルとなって、もはや苦笑するのみだった。

 と感想をつづっていくと、悪いところばかりが思い浮かんでしまうのだが、ま、スターウォーズとはまた別物としてみれば、それなりのエンタメ映画として悪くはなかった気はする……。
 何にしても問題は、三部作を通じて一貫したものがなく、行き当たりばったりとしか思えないつくりになっているところだろう。結果、残念な新シリーズだったと言わざるをえない。



「来る」

kuru

監督・脚本 中島哲也、脚本 岩井秀人、原作 澤村伊智、出演 岡田准一、黒木華、2018年公開、日本製作
 
 2015年に日本ホラー大賞をとった「ぼぎわんが来る」という小説を原作に、中島監督によって撮られた映画。
 主人公の生家のある村に代々つたわるという、謎の怨霊? におそわれることになる主人公一家の受難を描いたもの。
 出だしはしかし、ホラーというよりは「イヤミス」と呼ばれる、イヤーな気持ちにさせられるミステリーを連想させる内容だった。
 結婚式、その二次会、友人たちを集めておこなわれるホーム・パーティー。それらの描写がいちいち底意地が悪いというのか、いかにも白々しくて、とにかく嫌な気持ちにさせられること必至だ。
 思えばこの中島監督の作品はどれもそうで、人間の表と裏、本音と建て前を悪意のある視点で切り取るのがうまい。
 本作でも、一見、主人公をとりまく家族、友人関係らの仲は良好で、とてもうまくいっているようにみえる。けれど、ちらちらとそこに亀裂の影をにおわせて、のちの伏線をしっかりとはっているのだ。
 ホラーの意匠を借りつつ、だから、そういう人間の奥にひそむ悪意を描いた映画なのだろう、とそう思って観ていたのだが、後半、一転して霊媒師たちと悪霊とが闘う、異能バトルものに変わってしまう。
 霊媒師比嘉琴子を演じる松たか子や、柴田理恵演じるキャラクターもやけに作り込んであって、個性が立ちまくっているのが印象的で、ほとんど悪ノリしているようにさえ思えてくる。もはやこうなるとコミック的で、後半はほとんどギャグすれすれな大騒ぎになっていくのだ。
 前半のていねいに積み上げていったものを、こうして後半、ちゃぶ台をひっくり返すように、自ら勢いよく破壊していく展開は、どこかパンクの精神をも連想させる。
 このあたりをおもしろいと感じられるかどうかで、観るものの評価は180度変わってしまうと思うが、私はおもしろいと思った。
 そうした意味で、今作は中島監督の特色である二つ、人の本音と建て前、そしてそうした全てを破壊したいという衝動とがもりこまれた実にらしい映画だ、と言えるのではないだろうか。



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