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「イコライザー2」

equalizer

監督 アントン・フークア、脚本 リチャード・ウェンク、出演 デンゼル・ワシントン、2018年公開、アメリカ製作
 
 デンゼル・ワシントン主演、アントン・フークア監督による続編。
 一作目が予想以上に好評だったようで、作られた本作。期待に違わぬおもしろさだった。
 ストーリーは前作同様、デンゼル演じるところの主人公ロバート・マッコールが個人的にこいつだけはゆるせねえ、という相手を勝手に成敗していくという、勧善懲悪もの。
 で、メインとなる話は、元同僚である女性殺害をめぐる、裏の組織との対決へ、という流れになっていく。
 とにかく主人公のキャラクター設定が秀逸だ。彼は、元CIA凄腕エージェントという身分をかくし、深夜タクシーの運転手という仕事をしつつ、夜の街を徘徊しながら、世の中の不正をじっと見つめている。そして、ここぞという時には立ち上がり、弱気を助け、強気をくじくのである。そこには金銭や私怨、といったものも関係ないようで、己の信念に従い、神のごとく審判をくだしていくのだ。冒頭では行きつけの本屋で働く女性、その娘を誘拐同然に連れ去った元夫から取り返すため、トルコまで単独で追いかけていくのである。
 ここまでいくと、ほとんどギャグで、あり得ない世界観だが、フークアの確かな演出力と、デンゼルの綿密な人物造形によって、説得力のあるものになっている。
 そして最後の舞台となる、嵐の中、人のいなくなった港町での対決がいい。西部劇のような雰囲気があり、殺し方も一つ、一つ、気がきいている。
 にしても本作にかぎらず、昨今のハリウッド映画では登場人物にしっかりと様々な人種を配置して、ダイバーシティに気を配っていると感じる。本作もメインは黒人、対する敵役は白人だ。
 ともあれ、観て損はない作品だった。



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「POP」U2

pop


 頭の三曲、M1からM3までが、攻撃的で刺激的なデジタル・ロック然としていて、聞いた当初から気に入っていた。それは20年たった今でも変わらないのだが、しかし、盛り上がるのはここまで。四曲目以降は、スローで情緒的な雰囲気の曲ばかりとなり、特に後半は混沌さをまして、気分が滅入ってくるほどだ。
 かように、一枚のアルバムとして通して聴くと、バランスの悪いアルバムで、個人的には苦手なのだが、なぜだろう、未だにふと気づくと手に取り、聴き直してしまう。
 データー的なことを記しておくと、1997年発表のU2のオリジナルアルバムとしては9作目。いわばデジタル三部作とよばれるうちの三枚目にあたり、プロデューサーにフラッドをむかえて製作されている。つまり今作にはブライアン・イーノがかかわっていない。実はこのイーノが不参加である、というところが重要なポイントだ。
 U2というバンドは、メンバーが一丸となって、情熱にまかせて突っ走る、というイメージがある。悪くいえば猪突猛進。周囲のことが見えなくなって、前方しか見えなくなる。だからサウンドが独りよがりなものになり、ある人にとっては、演っている音楽が混沌として理解不能なものになることがある。それを客観的立場にたって、誰にでもわかりやすく、ポップ・ミュージックとしてまとめていたのが、イーノだった。彼がいてこそ、「ヨシュア・トゥリー」での世界的規模のサクセスがあったと思うのだ。
 そのイーノが今作では不在。それがこのアルバムの混沌とした雰囲気の要因だった気がしてならない。
 しかし、それでも、未だに聴き返してしまうのは、この陰鬱で混沌としたサウンドの中に、何かこちらに訴えかけてくるものを感じるからだ。
 そもそも世の中、白黒はっきりしたものなど一つもない。どんなに正しいと思える事柄も、見方を変えれば、不正となり、悪にもなりえる。
 そのモヤモヤとしたカオスこそが、この世界の真理だとしたら。U2のメンバーはそう考え、あえてサウンドを整理せず、混沌としたまま、ディスクの中に封じ込めたのではないだろうか。もしこれが、わかりやすい形で提示されていたら、とっくに飽きていただろう。
 答えもなく、混乱していることこそが、このアルバムの何よりの魅力なのだ。



「ハン・ソロ スターウォーズ・ストーリー」

hansolo


監督 ロン・ハワード、脚本 ジョナサン・カスダン、ローレンス・カスダン、出演 オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、2018年公開、アメリカ製作

 前作、「最後のジェダイ」があれな出来だった、ということもあってか、アメリカ本国における興行成績は、ふるわなかった本作。
 内部で揉め、撮影中に監督交代劇があったりという話も聞こえてきたりして、そうしたさまざまな悪条件がかさなり、遅れて公開された日本でも、客入りが悪く、いつのまに上映が終わっていたという感じ。スターウォーズ・シリーズは常に劇場に足を運んでた私も、見忘れてしまったくらいだから、公開してたっけ? っていう人もいるんじゃなかろうか。
 で、今回、ようやく観たんだけど。結論を先に言うと、おもしろかった。事前に聞いていた、悪評はどこへやら、という感じ。
 思えば前作のダメージがあまりに大きく、それが足を引っ張っていたんだろう。そうした意味では不遇の映画ではある。
 話はタイトル通り、スターウォーズの主要キャラであるハン・ソロを主人公に据えたスピンオフ。
 不遇な生い立ちからの脱出、恋人と生き別れ、チューイとの出会い、強盗団の仲間になり、密輸業者として独立、といった、ソロが一人前になるまでをテンポよく、スピーディーに描いている。
 変に話を広げたりせず、登場人物をしぼり、宇宙船燃料であるコアクシウムを盗みとるというミッションをやりとげる、といったシンプルなストーリー構成にしたのが良かったんだと思う。
 感触としては、スターウォーズの、5、6を観終わった時と似ている。うん。スターウォーズに私が求めているのはこういうのだよ。という感じで、とても満足のいくものだった。
 で製作スタッフの一覧をながめていると、目に止まったのは、脚本を執筆したローレンス・カスダン。
 私が良いと思っている、スターウォーズシリーズ、5、6、7。の脚本はいずれもが、彼が執筆している。
 つまりこの人がキーポイントだったというわけ。(私にとっては)ということで、満足のいく一本だった。
 同様に、「最後のジェダイ」にがっかりして、観るのをやめてしまった人にぜひ観て欲しい作品だ。



「クローバーフィールド パラドックス」

paradox


監督 ジュリアス・オナー、出演 ググ・パサ=ロー、2018年公開、アメリカ製作

 なかなかひどい出来。苦笑。で、すませられる程度のアレなんで、まぁ、ゆるせる範囲内ではあるけど。
 っていうか、クローバーフィールドとどういうつながりがあるんだ? と観てるあいだじゅう疑問だったけど、ラストにあれが登場して、なるほど、そういうことか、と。一作目とほぼ同時進行で、宇宙ではこんなことが起こってましたよ、みたいな解釈でいいんだろうか。二作目のレーンもそうだったし。でもそうすると、もはや何でもありだな。
 その二作目のほうはそれでも、監禁物スリラーとしてなかなか秀逸な出来だったけど、今作は擁護できない出来だなあ。
 内容は地球の軌道上をまわる衛星ステーションが、とある事故で内部爆発。その衝撃により、パラレルワールド、すなわち別次元の宇宙へととばされて、もとの宇宙にかえるため、アレコレ船員らが奮闘するといったもの。世にも奇妙な物語、特別版みたいな、そんな感じ。
 結果、船内では過去のSF、スペースホラー映画でみたことあるような、奇怪な現象があれこれと起こり、次々と船員が死んでいく、といった展開に。
 でも最後まで観ても、どういう理屈でそうなったのか、その原因はあきらかにされないまま。別次元にふきとばされたくらいだから、こんなことだって起こるだろ、みたいな。製作陣はそんなアバウトな乗りで作っていると思われる。
 とまあ、全体がそんな感じなので、とにかく雑な印象。
 登場人物らの言動もしだいに理解しがたいものになっていき、観てるこちらとしては、腹立たしくもなってくる。もういいよ。おまえらまとめていってよし。みたいな。
 とはいえ、この手のSFホラー、宇宙船に閉じ込められて系の映画、個人的に好きなんで。前述したとおり、まあゆるせる範囲ではあった。
 でも普通に映画を楽しみたいという、ライトな層にはおすすめできない映画だな。



「ウインド・リバー」

windriver


監督 テイラー・シェリダン、主演 ジェレミー・レナー、2017年公開、アメリカ製作

 じつに硬派な映画である。
 真夜中。観ているだけで震えがきそうな雪山の平原を裸足で疾走している若きインディアンの女性。その必死な様子から、何かから逃げていることがわかる。いったい彼女の身に何があったのだろう? といった冒頭からして、すでにつかみはオッケーである。いっきに引き込まれてしまうこと確実だ。
 そして次に、主人公が牧羊をねらうオオカミをハントする映像へと切り替わる。狩るものと狩られるもの。この映画のテーマそのものをずばり、早々に映像化してみせているわけだ。
 そう。この映画は奪うものと奪われる者、そんな非情な現実を描いた映画なのだ。

 で話のほうは、冒頭の女性の死体が発見されて、殺した犯人が誰なのか、といったミステリーに主眼をおいた展開になっていく。
 FBIから派遣された若き女性捜査官と、地元の無愛想な警官とかコンビとなって、極寒の吹雪につつまれて閉塞した地域を捜査する。その様子はまるで、そこに住む者たちの心の中をあらわしているかのようだ。
 だが中盤、あかされることになる事件の真相は、案外ふつうで、はっきりいって拍子抜けするものだった。何だ、そんなことで殺しちゃったの? というような(まぁ、だからこそリアルともいえるけど)。解明の仕方も実にあっさりとしたものだったし。
 しかしそんなことはどうでもよくなるくらい、直後の銃撃の打ち合いとなるシーンがよい。飛び交う銃弾。あっけなくたおれる双方の陣営。遠方からの狙撃。といった一連の流れは、まさにクールの一言である。ここだけでもう、満足というか、オールオッケーである。
 ということでいい映画だったのだが、しかし文句がないわけでもなく、観終わって思ったのは、肝心なテーマ部分がどうも焦点がさだまっていないな、という点だった。
 アメリカという国から、その土地と、そして民族としてのアイデンティティをうばわれてしまったインディアン。その痛みと嘆きという、この映画と核となるべきところが、きちんと表現できていたか、といえば首をかしげざるを得ない。
 だから、その象徴としての、殺されたインディアン女性という存在もまた、どこか印象の薄いものになってしまっている気がした。
 そこがまあ残念といえば残念である。



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