「ダーク・タワー」

darktowerr

監督 ニコライ・アーセル、出演 イドリス・エルバ、マシュー・マコノヒー、2018年公開、アメリカ製作

 スティーブン・キングの、文庫本にして十冊近くになる大河小説の映画化、であるからして当然、昨今よくある、最初からシリーズ化をもくらんで製作されたのかと思ってたんだが、まさかのこれ一本で完結。しかも90分ちょっとという短い尺。一応、なんだったら続きもできますけど、という含みをもたせた終わり方ではあったけれども。
 おいおい、コンパクトにまとめすぎだろぉ。と文句を言うつもりだったんだが……。観終わって、これが案外悪くない、いや、個人的にはよく出来た映画だったと思う。
 でも、アメリカ本国では不評という話もあって、興行成績のほうも芳しくないらしい。
 それを知って、まったく信じられない気持ちだ。これのどこが悪いというのだろう。
 たしかに、途中まで読んだことのある原作小説とは、ずいぶんと異なる展開で、何よりも違うのは、小説で脇役の1人にすぎなかった少年ジェイクが中心になっているところ。なるほど原作ファンが文句を言いたくなるのわからないでもないが、しかしこれは映画化にさいして、良い変更であったことが観ていくうちにわかる。だいたい小説通りにやっていたら、とてもじゃないがこの短い尺でまとめられたものではないだろう。
 というわけで、全体的には少年を主人公としたジュブナイル映画の色合いを強く押し出している。
 話も、だからその手の映画を踏襲したもので、ありがちといえばその通りな展開。しかし、細部まで丁寧につくられており、登場人物たちの性格、生い立ち、関係性などもしっかりと描かれていて、飽きることはなかった。
 実にきちんと基本をおさえたオーソドックスな演出は、この監督がたしかな実力をもっていることを教えてくれる。
 ストーリーは、異世界と現実世界とを行き来して、そのバランスをくずそうと企む悪の組織と主人公らが闘うといった内容で、なかなか込み入っているが、うまく整理されて混乱することはなかった。
 しかもこうした基本設定の説明だけでなく、主人公2人の関係性、成長、交流や、アクションシーンなどの見せ場、などもこの短いなかで詰め込んで、きれいにまとめあげているのだから、たいしたものだと思う。脚本段階でかなり練りこまれていたに違いない。
 だがあえて難癖をつけるとすれば、早急すぎるラストの展開だろうか。いくらなんでも敵の本拠地を、銃弾一発でふきとばす描写はないだろう。ほとんどギャグで、思わず吹き出してしまった。
 ま、そのあたりは大人の事情というやつがあったのかもしれない。しかしあと十分ほど使って、その部分を丁寧に描いていたら……と思わずにいられない。
 とはいえ、昨今のよくある、当初からシリーズ化を目論んだあげく、無駄に引き伸ばしてる感のある映画にくらべたら、こっちのほうがはるかにいい。

 キャスティングのほうもいずれも適役で、主役のジェイクを演じた少年、トム・テイラーは、ちょっと影のある神経質な雰囲気をもっていて、この役柄にあっていた。
 もうひとりの主役であるガンスリンガー役、イドリス・エルバはまさに旬の男優ということで、色気がプンプンとただよって、実に画面映えしている。
 そして悪役のマシュー・マコノヒーがよい。この手の映画では悪役の存在が重要だが、その意味で、カリスマ性のある、いやらしくも魅力あるこの役をうまく演じていた。

 というわけで、個人的にはかなり気に入った映画だった。



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「プリズナーズ」

purizuna

監督 ドゥニ・ヴィルヌーブ、脚本 アーロン・グジコウスキ、出演 ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、2014年日本公開、アメリカ製作

 ドゥニ・ヴィルヌーブ監督。「ブレードランナー2049」がおもいのほかよかったので、観てなかった過去作を鑑賞。
 冒頭いきなり幼女2人が誘拐されて、その生死やいかに、という話なので、当然終始、重苦しい雰囲気がただよって息がつまりそう。
 カメラワーク、役者の演技、画面構成が生み出す緊張感はただごとではなく、開始数十分後にはすっかり、画面から目をはなせなくなってしまった。
 一方、話は犯人、というか疑わしき人物である青年が、そうそうに発見されるのだが、知能指数が10歳程度であり、ほとんど会話を成立させることができないような相手で、犯行は不可能と断定されて警察から釈放されてしまう。
 しかし時折発せられる言動から、誘拐事件に関係していることは明らかで、業を煮やした誘拐された少女の父親である主人公は単独でこの青年を拉致、監禁し、真相を聞き出すため拷問にかけるのだが……といった展開に。
 主人公を演じるヒュー・ジャックマンの演技が圧巻で、娘をおもうその鬼気迫る姿には胸がつまる。ウルヴァリンの人という印象しかなかったが、あらためて役者としての力量を見せつけられた。
 とにかくこういう話なので、どう考えても悲劇的な結末しか想像できず、人が人を裁く権利があるのだろうか? とか、神はなぜ善良な私たちにこのような過酷な試練をあたえるのだろうか? とか。そういった考えさせられる話になるんだろうな、と相応の覚悟して観続けていた。
 と、その一方で、真犯人は誰で、誘拐された少女たちはどこに? といったサスペンス的に興味をひかれる部分もあって、張りめぐらされた伏線、不可解な登場人物たち、事件を追うもう1人の主人公である刑事の推理、捜索と、先の読めないスリリングな展開は、エンタテイメント映画として、ひさしぶりに話に翻弄される快感を味わうことができた。
 そう。これは決してむずかしいだけの映画ではなくて、ミステリー映画としても実によくできているのだ。
 ということで、明かされるラストの真相にはおどろかされたし、その犯行の動機もまた考えさせられるものだった。
 鑑賞後ネットで調べてみたところ、テーマとして神と悪魔とそして異教徒との3つの存在が暗喩としてかくされていることを知ったりして、なるほどと感心させられた。そういう深い意味があったのか……。
 そしてあらためて、ハリウッド、アメリカの映画の底に横たわるキリスト教というものについて考えさせられた。それを抜きにはやはりハリウッド映画は語れないのだろう。そうした観点からまた観直してみると、新たな発見がきっとあるにちがいない。
 ともあれ今作は見る人によって、さまざまな感想をいだくことのできる多重の要素をふくんだ傑作だった。
 ヴィルヌーブ監督、やはり相当な力量のもちぬしで、今後の活動から目がはなせそうにない。



「ジオストーム」

giostorm

監督 ディーン・デブリン、出演 ジェラルド・バトラー、2017年公開、アメリカ製作

 どうせエメリッヒとかマイケル・ベイとかみたいな、大味エンタメ映画でしょ。と予告動画を観て思っていた。ゆえに見る気なし。
 のはずだったんだけど。主演のジェラルド・バトラーがわりと好きだし、何のかんのいっても、大都市が破壊されていく映像にはワクワクさせられるところがあって(不謹慎)。観てしまった。
 ストーリーは、悪化していくばかりの地球の気候。その環境破壊を食い止めんと、はるか上空を無数の骨組みみたいなもの? で地球をバリアするかのごとくおおって、天候をコントロールできる仕組みをつくりあげた近未来を舞台に、それを悪用し、地球を破壊させようとたくらむ悪い組織と、その存在に気づいて、阻止しようと活躍する主人公らとの対決を描いたもの。
 いわゆるディザスタームービー。大自然の脅威vs人類の話なのかと思ったら、実際は人vs人。政治的陰謀をからめたポリティカル・スリラーだったことがまず意外。
 さまざまなアクシデントが主人公におそいかかり、身内にひそんでいるらしい黒幕が誰なのか? といったミステリー要素をふくんで。CGによるアクションシンーン、災害シーンも見応えがあり、そこへさらに兄弟愛あり、父娘愛ありと様々な要素をぶっこんで。ごちゃごちゃになりそうなところを、スマートにわかりやすく見せていく手腕はなかなかのもの。脚本がよく練られているんだろうなあ。決して大味にならず、出るとこ出て、引くとこは引いて。観客が感情移入しやすいように、丁寧につくられいるところに感心した。
 ま、ラストはありがちなご都合主義的な展開で、主人公まわりの人たちは皆ハッピー。災害にあった他の地域はどうなってるんだ? 相当に深刻な状況になってるはずだけど。と突っ込みをいれたくもなるが、ま、娯楽映画だし。野暮なことは言いっこなしって感じなんだろう。
 というわけで大作系娯楽映画としてじゅうぶんにおもしろかった。



「クレイジー・ナイン」

crazynine

監督 ファイア・リー、出演 デレク・ツァン、ラム・シュー、2015年公開、香港製作

 エロ・グロ・ナンセンス。三拍子に見事にそろったっていうか。思いつくかぎり何でもぶっこんでみたっていう映画だった。
 ストーリーは、とある場末にあるコンビニ店。深夜そこにぐうぜんあつまった、数名の客と店員とによる生き残りをかけた争いを、ブラックにコミカルに描いていく。
 ほとんど行き当たりばったりな展開で、ラストも決まっていないまま、書きながら考えたんだろうな、っていうのがわかる内容で、どう転がっていくのか、全く予測不能。そういう意味であきずに観れたけど。

 個性的すぎるキャラクター、唐突にはさみこまれる、エロとグロ。そしてシュールなギャグ。とじつに全編、コミック的。
 とくにラストがなかなか、ぶっとんでいる。というか、これ話作りの鉄則として、禁じ手じゃない? これやったら何でもありになっちゃうやつじゃん、っていう終わり方。
だから、まじめに観てると怒りだす人もいるかもしれない。私もしょーもなっ、と始終観ながら思ってたけど。

 でもなんだろう。嫌いになれない。観たあとエネルギーをもらえるっていうか、そんな映画だった。
 映画にかぎらず、ものをクリエイトするにあたって一番大切なのは、テクニックとかメソッドとか、そういった基本的なことを身につけているとかっていうよりも、それ以上に、初期衝動。自分の中にある言葉にならない何かを表現したい、誰かにうったえたい、っていう気持ちが、もっとも重要なんだって、ことを改めて教えてくれるというか。
 そういう意味で、生命力にあふれた、いい映画だったと思う。

「ジグソウ:ソウ レガシー」

jigsaw

監督 マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ、出演 マット・パスモア、トビン・ベル、2017年公開、アメリカ製作

 前作でシリーズ終了。ラスト作って言ってた気がするけど……。そうあいだをあけることもなく、シレッと続編公開。新シリーズ突入、っていうか仕切り直しってやつ?
 でもなんかこういう、人体破壊系、スプラッターもの、もういいっていうか。体が受けつけなくなってるなあ。どうしよう。でも暇だったんで、観てしまいました。始まってみれば、おもしろいんだけどね。
 話は今回も、閉鎖された空間に、鎖でつながれた状態の数名の男女が目ざめるところから始まる。そして唐突にデス・ゲームの幕があく、といつものパターン。
 ひとり、またひとりと無残な方法で殺されていって、阿鼻叫喚の地獄絵図がくりひろげられていく。しかし、そんな彼らには、そうした罰をうけるだけの、罪を以前に犯していたのだった。
 そして一方で場面が変わり、犯人を追う側も同時に描かれていくのだが、しかし。といった展開は、でも、ソウの何作目だかで、同じことやってなかったっけ? ま、こまかいことはいいんだよってことなんだろう。
 それにしても例の犯人。それなりの年で、かつ末期をむかえた病床の身でありながら、毎回数名の男女をさらってきて、舞台をセッティングし、複雑な殺人マシーンまで開発したりして、じゅうぶんに元気じゃん、とか思うけど。ま、いろいろとつっこみつつ楽しむのがこの映画の醍醐味ってやつなんだろう。
 全体的に金をかけている感じで、チープな印象もなく、B級映画としてはよく出来ているのではないだろうか。たのしく観れました。

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