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「POP」U2

pop


 頭の三曲、M1からM3までが、攻撃的で刺激的なデジタル・ロック然としていて、聞いた当初から気に入っていた。それは20年たった今でも変わらないのだが、しかし、盛り上がるのはここまで。四曲目以降は、スローで情緒的な雰囲気の曲ばかりとなり、特に後半は混沌さをまして、気分が滅入ってくるほどだ。
 かように、一枚のアルバムとして通して聴くと、バランスの悪いアルバムで、個人的には苦手なのだが、なぜだろう、未だにふと気づくと手に取り、聴き直してしまう。
 データー的なことを記しておくと、1997年発表のU2のオリジナルアルバムとしては9作目。いわばデジタル三部作とよばれるうちの三枚目にあたり、プロデューサーにフラッドをむかえて製作されている。つまり今作にはブライアン・イーノがかかわっていない。実はこのイーノが不参加である、というところが重要なポイントだ。
 U2というバンドは、メンバーが一丸となって、情熱にまかせて突っ走る、というイメージがある。悪くいえば猪突猛進。周囲のことが見えなくなって、前方しか見えなくなる。だからサウンドが独りよがりなものになり、ある人にとっては、演っている音楽が混沌として理解不能なものになることがある。それを客観的立場にたって、誰にでもわかりやすく、ポップ・ミュージックとしてまとめていたのが、イーノだった。彼がいてこそ、「ヨシュア・トゥリー」での世界的規模のサクセスがあったと思うのだ。
 そのイーノが今作では不在。それがこのアルバムの混沌とした雰囲気の要因だった気がしてならない。
 しかし、それでも、未だに聴き返してしまうのは、この陰鬱で混沌としたサウンドの中に、何かこちらに訴えかけてくるものを感じるからだ。
 そもそも世の中、白黒はっきりしたものなど一つもない。どんなに正しいと思える事柄も、見方を変えれば、不正となり、悪にもなりえる。
 そのモヤモヤとしたカオスこそが、この世界の真理だとしたら。U2のメンバーはそう考え、あえてサウンドを整理せず、混沌としたまま、ディスクの中に封じ込めたのではないだろうか。もしこれが、わかりやすい形で提示されていたら、とっくに飽きていただろう。
 答えもなく、混乱していることこそが、このアルバムの何よりの魅力なのだ。



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